子供の頃に抱いていた大人の男のイメージ。
仄暗い広いリビングでガウンを着こなし、ゆったりしたソファーに腰掛けている。
部屋の中にはクラシックやジャズのナンバーが静かに流れている。
ブランデーが注がれた透明なグラスを片手にタバコの煙を燻らし、
心の疲れを癒やしながら、その日の出来事を回想する。
ひとときの情景を切り取ったものに過ぎませんが、定着したそのイメージは
おそらくテレビドラマか何かの映像が頭に焼き付いたものでしょう。
それはおそらくハリウッド映画などから想像した欧米文化。
まだ飛行機にも乗ったことがなかった時に、ただ憧れていた大人の世界は
今ではだいぶ違ったものに見えるようになりました。
いつしかテレビでは日本の素晴らしさを伝える番組が増え、
欧米の文化よりもむしろ快適な日本の生活が自分の周りにはあります。
仕事や生活でもボーダーレス化が進み、個人の趣味も多様化しました。
大人の象徴とも言えたタバコは今やすっかり邪魔者扱い。
高級ブランデーも第三のビールに取って代わりました。
しかし、たとえリビングの主役がブランデーからスイーツに変わったとしても、
自分なりのこだわりやハードボイルドは、まだどこかに残っているのかもしれません。
昔夜中にラジオから流れてきたどこか優しい音色は、
私の西洋へのあこがれを強くさせてくれたものでした。
そう、思えば今は亡きあの名ナレーター、城達也氏がナビゲーターを務めた番組
ジェットストリーム。
あれこそが私を大人の世界へ誘ってくれたものだったのかもしれません。
声に凛とした品格を感じたのは彼が最初だったかも知れません。
子供心に大人や仕事に対する畏敬の念を抱かせてくれました。
ジェットストリーム CD10枚組SET MCD-211-220 新品価格 |
コメント